〈夢を見る時間〉   あとがき

那須・黒磯での2週間の滞在で、私はきっと1年分「はじめまして」と言った。

初日、偶然出会ったこころ揺さぶられる詩。

その詩を書いた人を訪ねていったら、出会えた別の人。

その人の話を聞いて絵を見にきてくれた人。

その人が教えてくれた植物のこと。

その話に乗っかってきた面白いおじさん。

そこで聞いた話を調べてたらたまたま知った考え方。

その思想ってあの人の言ってたことと繋がるな…

芋づるのような、アリの巣のような街だと思った。

一歩自分がアクセスすると、つるを辿るように、巣を掘るように、出会い続けてしまう。

それは、街のスケールや、人の濃さや、距離感に起因するのかもしれないし、はたまた単に私の運がよかっただけかもしれない。

でも、普段決して社交的ではない自分が心を閉じずに、「出会いと気づきを逃すまい」とつるを伸ばしていけたのは、この街に不思議な魅力があるからだと思う。

(制作中も人が来てくれたら、ずっとお話ししてしまうので結局夜に描いていた。でもそこで新たな気づきがあるので、扉を閉じられないのだ)

毎日繋がっていく私の中の芋づるを、壁に描きはじめたら、とうとう天井まで覆い尽くしてしまった。

この2週間の、夢のような繋がり。壁一面の作品は、期間が終われば塗りつぶされ消えてしまうけれど、これからも私のつるはどんどんと外へ、伸びていく。

藤原 琴美

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◻︎滞在制作(AIR)期間　2023.9.30(土)〜10.15(日)

◻︎公開期間　2023.9.30(土)〜10.22（日）（10.16~10.22は完成後のスペースを公開）

◻︎観覧料　無料

◻︎場所　ART369スペース 〒325-0056 栃木県那須塩原市本町８−１ １F　JR黒磯駅より徒歩3分

◻︎開館時間：10:00-17:00

◻︎休館日　滞在スケジュールは、日々インスタグラムのストーリーにてお知らせいたします

◻︎企画　那須塩原市ART369プロジェクト実行委員会